恵方巻きを食べる作法と具材の意味は？

恵方巻きは関東の人には馴染みがありませんでした。最近はコンビニをはじめ、スーパーでも事前予約や当日販売を大々的にやっているので嫌でも目に入りますね。

いつのまにか定着してきた行事ですが2月3日といったら豆まきの日であって、海苔巻きを食べる日ではなかったはずです。だから恵方巻きの意味とか知らずに何となく食べている人はいますよね。

でもちょっと考えてみてください。あなたが毎年食べている恵方巻き、どんな意味が込められて、なぜ食べているのでしょう？

このあたりの事、あなたはちゃんと知っていますか？そしてできていますか？

恵方巻きを食べる意味とは？

自分のような江戸っ子にとっては、2月3日の節分は豆まきをする日という認識でした。「福は内、鬼は外」と外や鬼に向かって福豆（炒り大豆）を投げ、年齢の数だけ豆を食べる行事だったはずです。

それがいつの間にか豆まきよりも太巻きを食べる日になって、スーパーとかの宣伝も恵方巻きの方が目立つような気がします。

ところが恵方巻きを食べる行事の意味にはいくつかの説があったり、始まりもあいまいだったりします。食べる意味は大きく分けると2つです。

どうやら関東では豆を撒くいて関西では恵方巻きを食べることで、意味合いは同じといえそうです。

恵方巻きのはじまりは江戸末期とも大正時代とも言われていますが「節分に食べる恵方巻き」として名称が定着したのはコンビニで販売するようになってからなので、つい最近のことです。

そういう意味ではいまの恵方巻きに伝統的な意味はないと言えます。

じゃあ何でこれほどまでに普及、定着したのかというと、バレンタインデーやホワイトデー、それに土用の丑の日と同じような理由です。つまり流行らせたい業界があったということ。

節分に関係する食べ物にはマメとイワシと恵方巻きがあります。

この中で食品業界が主導権を握れて、商品のバリエーションが豊富で、行事への参加が手軽なのは恵方巻きがダントツです。なにせ食べるだけですからね。

マメって撒くだけだし、イワシで商品展開をしても地味じゃないですか。恵方巻きは”巻き寿司”なのでイメージ的にも頭一つ抜けますし、具材によって手頃感も高級感も出せます。

そういう意味でも豆まきよりも恵方巻きが節分の行事として定着してほしいのではないでしょうか。

恵方巻きを食べる作法で共通しているのは「恵方を向いて食べる」というものだけです。他にもこんな作法があります。

すべてをやりながら食べるわけではなく、家庭ごとに独自のルールがあったりします。

例えば切らずに食べるという作法は「縁が切らないようにする」という意味があります。が、「悪い縁を切る」という意味で、切って食べるという作法もあります。

どうしてこれほどまでに様々な作法があるのかというと、太巻きを食べる風習が時代も地域もバラバラなところから後付けされている「恵方巻き」が販売促進や新しいブームを作り出すための風習だからです。

はじまりが曖昧で…家庭ごとにルールがあって…定着したのが最近で…というところからわかるように、具材それぞれに固定した意味はありません。

よく言われるのは、七福神にあやかって具材を7種類にするというものです。でも7種類の具材に定まった決まりはなく、7つなら具は何でも良いですし、それどころか7つ未満だったり7つ以上の具が巻かれていることもザラです。

オーソドックスな太巻きに使われる玉子、かんぴょう、鯛でんぶ（そぼろ）などを含めた7種類を巻いたもの、豪華に海鮮を巻いたもの、野菜中心のサラダ巻きや揚げ物を巻いたものまでバラエティ豊富です。

小さいお子さんが買ってきた恵方巻きでは食べきれない場合には、家庭で太巻きを作ってしまうというのもよいでしょう。いっそのこと手巻き寿司にすれば嫌いな具を入れずに好きな具だけで作ったり、太巻きではなく細巻きにしたり、自由できます。

見てきたように恵方巻きは、伝統的な「節分の恵方巻き」という風習はなく、太巻きを食べる限られた地域の風習の寄せ集めです。

少なくともこれまで知らずにいた関東人の自分にはそう映っています。でも「それでいいんじゃね？」と思っている自分もいます。

典型的な日本人として、なんかそういうのに流されちゃう自分がいます。それに夕食を考える手間が省けるじゃないですか！

全体的に恵方巻きを否定するような内容になってしまった気がします。ですが、豆まきはしないけど福豆は好きだから毎年食べるし恵方巻きも何となく買っちゃいます。

いいじゃないですか、それで。