夏になると熱中症で高齢者が入院したとか亡くなったというニュースが流れます。両親など身内にエアコン嫌いがいて、こんなニュースを見ると心配ですよね。
かといって、暑いのをがまんするのも危険だからと話しても「熱くないから」と。暑さで体調を崩してもかたくなにエアコンをつけずにがんばってしまうなんてこともあります。
どうにか熱中症対策の1つとしてエアコンをつけるようにしたいなら、まずはエアコンをつけない理由を知ることです。わがままでつけないんじゃないんです。
それを理解したうえで話をしないと親切の押し売りになりかねません。
暑いのにクーラーを使わない理由は?
テレビで熱中症のニュースが流れても「自分は大丈夫」「自分のことは自分が1番わかっている」と根拠のない自信をもっている高齢者は少なくありません。
これを単なる思い込み、わがままと考えるのは早計です。ちゃんと理由があるのです。
- 温度を感じる感覚が鈍ってくる
- エアコンは体が冷えすぎてて節々が痛くなる
- 暑い部屋と寒い部屋の行き来で体力が消耗して体がだるくなる
- エアコンに頼るのは贅沢で甘え
体を冷やしたくないからエアコンを使わない?
加齢とともに身体の能力は低下していくのが普通です。暑さも寒さも感じにくくなっていくので、平均的な若い人が暑いと思っている温度でも高齢者は適温に感じているかもしれません。
たとえばあなたにとっては適温なのに、メタボなお父さんが汗をだらだら流しながら「暑い暑い」とエアコンをつけてキンキンに冷やすので思わず「エアコン消せ!」とキレてしまうくらいの感覚の違いと思えばよいでしょうか。
暑さは感じにくいのですが、寒さには敏感です。たとえば冬になると関節が痛んだり、古傷がうずきます。エアコンで室温を下げると冬の寒さと同じように体の痛みを感じるので、痛みを感じない暑い方が良いと考えてしまうのです。
夏の暑いときでもエアコンで冷やすことで、同じように冷えから痛みが出てくることがあります。だからエアコンは使いたくない…と考えるのは自然な気がします。
単に冷え性だからという理由も、もちろんあります。
一度、寒いと言っている高齢者の足先を触ってみてください。本当に足だけが冷たい事もあるのです。足が寒いと全身が寒く感じる感覚、わかるしょう?
身体の衰えを認めたくないからエアコンを使わない?
贅沢や甘えと思うのは、自分が若かった頃との比較ですね。一部のお金持ちしか買えなかったとか、昔は暑かろうが皆がまんしたとか。
あなたも「昔はよかった」「苦労はしたけどそれが普通だったor良かった」みたいなことはありませんか?その感覚に似ているのではないでしょうか。特に機械いじりが好きだった男性ならこの感覚はわかってもらえるのではないかと思います。
または、ほんとうは涼しい方が良いとわかっているのに、若い頃に比べて暑さをがまんできなくなったと思って「まだまだ若いんだ!」と意固地になっているのかもしれません。
このようにいろいろな理由で高齢者はエアコンをつけたがりません。もっと他にも個人的な理由で使わないケースもあるでしょう。結局は本人に聞いてみないとわからないんですけどね。
高齢者のエアコン嫌いを説得するには?
赤の他人なら「エアコンを使わない自慢」と聞き流せるかもしれませんが、連日のように熱中症や30℃を超す猛暑のニュースが流れていると「うちの両親は大丈夫かしら?」と気になります。
なんとか最低限でもエアコンをつけて暑さをしのいでくれるようにするにはどうしたらよいのでしょうね。実現可能(実績あり)なものから、若干妄想を含めたものまで、こんなものがあります。
- 母の日、父の日、誕生日、敬老の日など理由を作ってエアコンを買ってあげる
- 1部屋だけエアコンのある「猛暑避難部屋」を作る
- エアコンを使った月と使わない月の電気代の差を教えてあげる
- 犬や猫などペットを飼うようにして「ペットが暑さでかわいそう」とエアコンをつけるよう促す
- アラーム付き温湿度計を買って「アラームがなったらエアコンつけて」という
エアコンをつけたがらない人は、自分の家が涼しくなると快適に過ごせるということを知らない場合があります。または外出先のエアコンが効きすぎているので快適な温度に調節できることを知らないとか。
今のエアコンは直接体に冷風が当たらないようにできますし、送風やドライでも冷やしすぎない機能もあります。でもそれを言葉で教えてあげても納得しないだろうなとは思うのです。
エアコンが快適だと知らないから使わない?
だから何かしらの記念日にプレゼントと称して取り付けて、使った上で快適だということを認識してもらうのです。プレゼントしたものを使う使わないは自由…くらいに考えておきましょう。気にしすぎると「せっかく買ったのに」とケンカの火種になります。
たぶん人目のないところでこっそり使ってみると思いますよ。そして快適であることを知れば…手放せなくなるかもしれません。それでうまくいった例もあるのです。
また、外ではエアコンのあるところで涼んでいる人が自分の家ではつけたがらないケースもあります。お店とかの冷房は効きすぎの場合も多いので「エアコンを点けたら寒くなるからいらない」と考えるのです。
すでに書いた関節が痛くなるからという理由につながることもあるでしょう。。
エアコンは電気代がバカ高いから使わない?
エアコンに高い電気代がかかっていたのは昔の話です。いまは性能がアップして高齢者が若かりし頃に比べればリーズナブルになっています。それを知らずに昔の感覚で「エアコンは贅沢品」と思っている場合があります。
そこで1日何時間くらい使って、エアコンを使う月と使わない月ではどのくらい違うのかなど実例を教えてあげると電気代が思ったほど高くないとわかってくれるかもしれません。
もし話を聞いてくれるなら、設定温度が高い方が電気がかからないとか、扇風機と併用すれば節約になるとか、節約のコツを教えてあげるのも良いでしょう。
このように節約する術を知らないので使いたがらないケースもあるのです。
目で見ると暑さを実感する?
以前にテレビ番組で「不快な温度だと感じたらボタンを押す」という実験をしたそうです。その結果、高齢者は35度になっても不快と感じなかったのだとか。これは暑さ寒さを感じる感覚が鈍ってくると、すでに書いたことと一致します。
たとえば暑さを体感できなくてもテレビで「今日は35度を超える猛暑日でした」と流れれば今日は暑かったんだなと認識はするでしょう。もしかすると、そんなニュースを見ることでエアコンを使おうという気になるかもしれないのです。
だから温度計があれば、数値が30℃なのを見て「いまこんなに暑いのか」と暑さを感じはじめる可能性だってあります。そこで温度と湿度がわかるもの、さらには設定温度になったらアラームが鳴るものをプレゼントするというのはどうでしょうか?
30℃でアラームが鳴るようにして「これが鳴ったらエアコンを30分つけてね」とか言えるわけです。
ただし注意点。
シンプルなものが少ないのです。だいたいが温度計、湿度計、時計、カレンダー…機能がてんこ盛りで、高齢者からすると「どこ見ればいいの?」となりがちです。しかも数字が小さいので見づらいという…。
デジタル表示で温度と湿度だけを表示する、できるだけ数値が大きい、などの基準で選ぶとパッと見てわかるでしょう。これで「いまは暑いんだ」と認識してくれて、エアコンを使ってくれるのを期待しましょう。
さいごに
ここに書いたことは実際の高齢者、高齢者と多く接している人に話して聞いています。そして「元気なお年寄りなら、その通りだ」と理解を得られています。それでもケースバイケースなので難しいんですがね。
それでも高齢者がエアコンを使わない理由を考えてみた上で、使いたくなるきっかけを作ってあげると良いのではないかなと思います。あくまでも押し付けすぎないように、善意で。
あ、あと女性はエアコン好きな人が多い気がします。確かに肩、コシ、ヒザなどの関節は痛くなります。でも女性は更年期障害で体温調節ができずにほてりやホットフラッシュを起こす人がいるという面があります。
うちの母がまさにこれで、エアコンをガンガン効かせる横でガタガタ震えていました。こんなケースもあるので「高齢者は…」とひとくくりにできないのも事実なのです。
いろいろと難しいハードルはあるかもしれませんが、熱中症で大事に至らないとも限りません。できることはやってあげたいですよね。