リオデジャネイロでオリンピックが開催されるというのに、そのド真ん中である中南米で流行中のジカ熱(ジカウイルス感染症)を心配する声が多く聞かれます。
出場を辞退する選手がいたり、感染の恐怖から観に行くのを取りやめる人がいたり…。実際のところは、どれほどの危険性があるのでしょうか?また、オリンピックへの影響はどの程度あるのでしょう?
ジカ熱の危険度はそれほど高いの?
ブラジルのリオデジャネイロで開催される夏季オリンピック…楽しみではありますが、ジカ熱が気になると不安に思っている人もいるのではありませんか?チケット取得済みで現地に競技を応援に行くとなればなおさらですよね。
ジカ熱発症によるリスクは低い
実際のところ、ジカ熱がどれくらい怖いものなのかということを知っているかというと「ニュースでやっているから」くらいの知識がなくて、無知からくる恐怖ということは無いでしょうか。
マスコミからの情報で恐怖心をあおられているかもしれませんが、ジカ熱(ジカウイルス感染症)を発症して危険な状態になる確率は非常に低くんですよ。
感染しても発症しない、発症しても気づかない、ということもあります。しかも症状は軽く、1週間ほどで治ります。
インフルエンザのように高熱が出るとか感染力が強いなら別ですが、気づかないほどの軽い症状のウイルスにそれほどビクビクする必要があるのでしょうか?
恐れの根源は無知による恐怖
ではなぜこれほどまでに騒いでいるのかというと…詳しいことがわかっていないからです。
つまりブラジルにオリンピックを観にいく人も、国や国際機関の専門家も「無知による恐怖」におびえているのです。たとえば、まだジカ熱にはワクチンがありません。だから予防接種が受けられません。
できることは蚊に刺されないようにすることだけ。あとは、もし刺されてもウイルスを蚊が持っていないことを祈るだけ…そんな状態がいまなのです。
ジカ熱を怖がるべきは妊婦?
妊婦がジカ熱を発症した場合に、赤ちゃんが小頭症等の先天性障害をもつ可能性があるといわれています。また妊娠初期は危険だが、後期なら安心とか。
たしかに1つの生命が作られる過程で母体がウイルスに感染したら…そう考えたら怖いです。ですがこれも明確な因果関係が証明されたわけではありません。あくまでも「危険性がある」の粋です。だって詳しいことがわかっていないんですもの。
その前に、妊婦がブラジルまで飛行機に乗るリスクを考えた方が良いんじゃないかとか、気にするポイントは他にもあります。
どう行動すればいい?
根拠や因果関係がはっきりせず、ワクチンが作れずに対象療法しか無いのが現状です。そんな中でどう行動すればよいのでしょうか?
たしかに感染の危険性はさほど多くはなく、発症しても症状は軽い。だからと言って無防備に行動しても良いという意味にはならないのです。
個人でもできるようなこと、妊婦は危険な地域に行かないとか、もし行ったら虫よけ対策、虫刺され対策といったことは最低限やるべきだと思うのです。
ジカ熱のオリンピックによる影響はどんなものが?
2016年2月には世界保健機関(WHO)から「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言されました。その反面、「感染拡大のリスクは低い」とも言っています。
日本ではジカ熱が流行している地域への渡航を控えるように訴えつつも、オリンピックが延期や中止されることはいまのところありません。
結局、どうなのさっ!
- WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」
- WHOが「感染拡大のリスクは低い」
- ブラジル連邦厚生省は国家衛生非常事態宣言
- 日本はジカ熱が流行している地域への渡航の自粛を訴えている
- オリンピックの延期や中止は無い
どれを信じて、どう行動すればいいんですかね。
影響はオリンピック終了後にも?
感染経路の多くは蚊を媒介にしたものだと思われます。そこで気になるのがオリンピック観戦者が帰国するときです。
海外旅行から帰国したときにウイルスや病原菌を持ち込む可能性が高くなります。ジカ熱も洋服のすき間などにウイルスを持った蚊が紛れ込む可能性は否定できません。そこから国内で繁殖して…というシナリオだってあるわけです。
その対応として、厚労省では2016年2月にジカ熱を4類感染症に指定しました。4類感染症の定義は次のようになっています。
人から人への感染はほとんどないが、動物、飲食物などの物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれのある感染症
これによって、患者を診察した医師は保健所に報告する義務ができたのと、帰国・入国者に対して検疫所での診察や検査もできるようになりました。
ウイルスを国内に入れないための水際作戦ですね。
ブラジルで危険な体験はジカ熱よりも…
未知な部分が多いので何とも言えませんが、いま現在わかっている情報だけ見れば「流行はしていても必要以上に怖いものではない」と思われるジカ熱です。
自分でできる対策はすべきですが、さしあたっての危険はジカ熱の発症よりも他にあります。それはブラジルの治安の悪さからくる危険です。
もう20年ほど前の音楽雑誌にブラジル出身バンドのインタビューでこんなことが書いてありました。
「貧富の差が激しく、子供による犯罪も多い。都市部でも子供が観光客の靴を盗めるか?という遊びをするくらいに犯罪が日常化している。他の国の人には見られたくないところだよね」
うる覚えですが、たしかこんな内容だったと思います。この現状は現在でもさほど変わっていないようです。どちらかと言えば、ジカ熱を発症したり、それによって危機的な状態になるよりもスリや強盗にあう心配をした方が良いのではないのかと。
さいごに
ジカ熱の危険性やリオデジャネイロ オリンピックへの影響などを書いてみました。
しっかりと対策はすべきですが、必要以上に怖がることはありません。それよりも治安の悪さの方が危険度は高いのです。
とはいえまだわからないことだらけなジカ熱。最新の情報に対して常にアンテナを高く張っておきましょう。自分の身を守れるのは、結局自分ですからね。