お中元にお歳暮、結婚祝いに出産祝いと贈り物をする機会はあります。ところで贈答品につける熨斗(のし)の付け方には内のしと外のしがあって、どんな時にどっちなのか混乱しませんか?
自分は何回聞いても例外的な話が出てきて、なかなか理解できませんでした。結局その人次第なのではないか、正解は無いのではないかと諦めていました。
でも悩んだかいがあって納得できる使い分けの考え方を導き出すことができました。地方や風習によって違いはありながらも、ある考え方がわかったおかげで自分で判断できるようになります。
内熨斗と外熨斗 使い分けと覚え方
まず基本的なこととして、内熨斗(のし)と外熨斗(のし)に明確な決まりはありません。昔ながらの風習から地域性のマナーがあるくらいです。「(親族を含めて)自分たちは昔からそうしていたから、それが普通」という感覚の場合も少なくありません。
逆に言えば先方の風習を前もってリサーチしておかないと、あなたが知っている風習では間違いないのに先方には非常識な人間だと思われてしまうということです。
そのうえで内のしと外のしの使い分け方です。
まず内のしというのは、贈答品の外箱に直接のし紙をつけて、その上から包装紙でくるむやり方です。この内熨斗をするときは、次のようなときだと言われています。
- 控えめに品物を贈るとき
- 宅配で品物を贈るとき
次に外のしというのは、贈答品に包装紙で包み、その上からのし紙を付けるやり方です。この外熨斗をするときは、次のような時だと言われています。
- 直接渡すとき
- 一目で贈り物とわかるようにしたいとき
昔は贈り物は直接出向いて渡すことが(宅配という者が無かったので)主流でした。そのときは外熨斗で風呂敷に包んで持って行っていました。いまではネットやデパートなどから宅配できるようになったので、配達中に熨斗紙が破けたりしないように内熨斗が生まれたと言われています。
えーと、一般的なお話はこのくらいでいいですかね。この先、わかりやすく少しわざとらしい表現を使うことがあります。でも悪意はありませんので。
贈り物は、お祝いをしてあげる方が外熨斗、お祝いをされる方は内熨斗にする考え方がシンプルでわかりやすく、簡単に覚えることができます。
まず外熨斗は、お祝い事に対するお祝い品だとわかるように知らしめるためだと考えるとわかりやすいです。逆に隠していたら「何で贈りなんてされたのだろう?何かやましい意味とか、お願い事があるのではないか?」と勘ぐることもできます。
だからお祝いの贈り物をするときには堂々と外熨斗にしましょう。
続いて内熨斗は「日本人は伝統的に自分の能力をひけらかすのを良しとしない(ですよね?)」というところからきていると考えるとわかりやすいです。能力とはちょっと違いますが、自分のお祝い事を外熨斗でひけらかさないのです。
ネガティブな説明をすれば「宝くじに高額当選したら口をつぐみますよね?」ということです。幸せであることを声高にふれて周ると妬み嫉みやっかみが起きないとも限りません。
企業などの組織が贈り物をする場合は、基本的に外熨斗です。これは宣伝を兼ねているからです。
のしのつけかたが関東と関西では違う?
熨斗のつけ方が関東は外熨斗、関西は内熨斗を好むとされています。
東京に生まれ育った人間の感覚として、外熨斗を好むのは見栄っ張りなところがあるからではないかなと思うのです。なんかカッコつけたいんでしょうね。そんな気がします。
関東って、新し物好きで古くなったら壊していくような気質があると思ってます(自分だけ?)。そのくせ意地っ張りで自分が馴染んだものは変えたがらない。なんか矛盾してますけど。
関西のことは想像の域を出ませんが、昔ながらの決まり事のようなものを重んじる傾向があるように感じています。
関東と関西の違いって、関西は京が都だったころの風習をいまも引き継いでいるとか、新暦より旧暦を中心に考えるとか、そういうところありません?
昔は外箱に熨斗をつけて風呂敷に包んでいました。それが現代になって風呂敷が包装紙に変わって内熨斗に変化したと考えることができます。
だとすれば関西が内熨斗を好むことは、昔ながらの考え方を現代風にアレンジしていると理解することもできますね。
外のしが失礼になるかもしれないパターンは?
必ずしも失礼とは思われないかもしれませんが、お祝い事があった側が内熨斗ではなく、外熨斗だった場合にどう思われるかを考えてみてください。
お祝いしろと言われているような気になりませんか?
世の中には「内熨斗でやるべきところを外熨斗で贈ってくるとは、なんて厚かましいんだ」と考える人がいるのです。
または親のしつけがなってない、世間知らず、と常識のない人間だと思われてしまうこともあります。まあ実際に知らないからネットで調べたりしているんでしょうけど。
お互いに風習や感が方の違いで、双方正しいと思ってやっているのかもしれないということも考えてほしいですよね。
この「お祝いの押し売り」的な考え方はお祝いと内祝いの関係も似ています。そのあたりは「お祝いとお返しと内祝いの違い?何を贈るそれともいらない?」に書いています。
さいごに
なんかだんだん愚痴っぽくなった気がしないでもありませんが、内熨斗と外熨斗の使い分けについて紹介しました。
お祝いをしてあげる方が外熨斗、お祝いをされる方は内熨斗にする
これがわかっていれば出産祝いだろうが、入学祝だろうが、お歳暮だろうが迷うことはありません。またお返しや内祝いは内熨斗で良いのいうのも、もう迷いませんよね。
これを基本にして先方の習慣をリサーチすれば、何が正解か不安であたふたすることは少なくなるでしょう。
こちらの記事も参考になります。