はじめて哲学の本を読んでみました。
「”叶わぬ望み”と”希望”が共通点のmoumoonの「Hello, shooting-star」とヘドウィグの「The Origin Of Love」」を書いておきながら、じつは元ネタの「饗宴」を読まずにいたのでよい機会でした。
内容についての解説とか感想は難しくて無理です。素人ながら読みながらいくつかのアイディアをもらったり、気づきがありました。その中の1つがブログの記事を書くときの考え方に使えるというものです。
ブログ記事を書くテクニックとして「ターゲットを絞る」「タイトルやキーワードをずらす」といったことが言われます。この「饗宴」は良い具体例になっていると思うのですが、どうでしょうか。
視点を「ずらし」ながらエロスを讃える話
哲学の入門書として有名なプラトンの「饗宴」をブログ記事作成の手本として見てみると、気づきがあったのでメモついでに記事にします。
本の内容は、ざっくりと言ってしまえば「これまで賛美されることがなかった”神エロス”についてみんなで語ろう」というストーリーとその解説です。
これを「エロスをテーマに記事を書く」と考えれば、1つのテーマに対して視点を変えてキーワードをずらしながら記事を膨らませたり、複数の記事を書くことと同じことです。
どう視点を変えるか
本書の登場人物は、それぞれ自分の得意分野の視点から神エロスをとらえようとします。ある者は「エロスを最も古い神の1人だから素晴らしい」、ある者は「若く美しい神だから素晴らしい」、と讃えます。
前者は権威づけによるもの、後者は表面的特徴をとらえています。また、エロスは、愛する人への羞恥心と名誉心を以て人を正しい方へ導くと主張する者もいます。それぞれ違う視点でありながら、どれもエロスについて語っています。
個人的に一番好きなアリストファネスの話は、古代神話を語ることでエロスを讃えます。ゼウスによって半分にされた自分の半身を探しさまよい、もとの1つに戻ろうとする欲求と追及がエロス(愛)だと。
このように違う立場(=ターゲットごとの立場)で物事を考えるようにすれば、表面的でありきたりな内容にならずにすみますし、話に広がりができます。
ドラマについての記事を書くなら?
視点を変えるという手法を知ってしまったら、ストーリーをなぞるだけだったり、面白かった点や簡単な感想を添えるだけではもったいないですよね。
ある登場人物をピックアップして、その人の視点で記事を書くなんてどうでしょう。主人公だけでなく、ライバルや恋人、仲間はどう考えているのか、なぜこの行動をとったのかと想像しながら記事を書くこともできそうです。
哲学的アプローチを取り入れてみる
「哲学者ってめんどくせ~」
これが本書を読んでいての素直な感想です。
ソクラテスとの会話を読んでいると、哲学者は何かというと「本当にそうだろうか?」と屁理屈をこねて誘導尋問のように外堀を埋めつつハメていく、そんなめんどくさい人種という印象です。そんな人が隣にいたら近寄りたくないと思ってしまいます。
会社でこれをやったら「できない理由ばかり言う使えないやつ」だと思うんです。でもこれ、ブログの記事を書くときに使えそうなテクニックではないでしょうか。
記事で書くことが少ない時に話題を広げるため「なぜなぜ分析」をする人は多いでしょう。トヨタがはじめたといわれる「なぜ?を5回繰り返す」というやつです。
なぜなぜ分析とは、ある問題とその問題に対する対策に関して、その問題を引き起こした要因(『なぜ』)を提示し、さらにその要因を引き起こした要因(『なぜ』)を提示することを繰り返すことにより、その問題への対策の効果を検証する手段である。
ここに哲学者の屁理屈「本当にそうだろうか?」を加えてみたらどうでしょう。
なぜなぜ分析の質問が肯定の視点を導き出すものだとすれば、哲学的アプローチでの質問は否定の視点を導き出すものです。
この2つの面からとらえた記事にするだけでもオリジナリティのある内容になりそうだと思いませんか?
”解説が本編”と思うほどに詳しい
本書は哲学初心者にとても読みやすくなっています。自分自身、これが初めて読んだ哲学の本で、実際そうだったということもあります。
前半約50%が「饗宴」本編だとして、後半約50%が解説になっています。時代背景からはじまり、それぞれが語る話についても詳しい解説があります。最後まで読み終えたらもう一度最初から読みたくなる、そんな構成になっています。
アニメやドラマでもある、最終回を見たら謎や伏線が回収されて最初からもう一回みたくなる感じ。もう、前半は予備知識で後半が本編と言ってもいいほどに詳しいです。
「饗宴」本編のストーリーの構成が哲学への関心が低い人に語るという形式なので、読者自身が哲学に詳しくなくても読みやすいようになっています。その上詳しい解説がされているのですから最初の一冊にふさわしい本と言えます。
「饗宴」はいくつか出ていますが、解説がこの本の価値を何倍にも増しています。