huluで見た映画「おおかみこどもの雨と雪」が良かった。帰省の予定がある人は、夏休み前のこの時期に見ると母親に感謝したくなるでしょう。
逆に、ツメが甘いとか、不自然なところがあると感じて楽しめなかった人がいるかもしれません。それには原因があります。
感情移入に成功すると、エンドロールではこの家族のアルバムを見ている気になって涙腺が緩みます。すべての母親に感謝です。
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子育てのアルバムを見ている雰囲気
物語は、娘の雪(ゆき)が母親の花(はな)から聞いたこと、自分が見たことを中心に語られます。弟の雪(ゆき) 弟の雨(あめ)についてのエピソードが少ないのは本人に聞くことができなかったからでしょう。
見ていて感じる違和感の理由
この映画を見るときには「人に話すときには不都合なこと、覚えていないことは話さない、または美化する」という前提を受け入れて見る必要があるのではないかと思います。
ここを無視して、リアリティを求めたり、論理的に…客観的に…と考え始めてアラを探すとつまらなくなります。
あなたが友人に話をするときのことを思い出してください。事細かに正確に話をしますか?面白い話ならより面白くなるように、悲しい話なら悲しかったことを共感してもらえるように、時には誇張して、時には省略して話しますよね。
「おおかみこどもの雨と雪」の場合もそうです。
母親の花が話すときは「母親フィルター」を通して、子供に聞かせたくない、必要ない事柄は省略して、自分が楽しかったこと、苦労したことを誇張している可能性があります。
それを聞いた雪が物語を語るときには、母親フィルターの上に「雪フィルター」を通しています。その上、聞き違いや思い違いもあるでしょうし、自分のことは恥ずかしいからと省略や美化も入るでしょう。
映画を見ている観客としてはそこに違和感を感じる可能性があります。分かりやすいところでいえば、父親の雪の妊娠中に栄養をつけさせようと取ってきた鳥。
「都会の真ん中で、なんでキジなんだよwww」 ← 当然の突っ込みです。
花は「とり」としか言っていないかもしれません。雪は何らかの理由で「とり」からイメージしたのがキジだったのではないかと想像できます。
そんな感じで語り部の情報改変が随所に行われているはずです。しかも花と雪の二重のフィルターによって。ここを受け入れられるか、受け入れられないかで、映画の評価が分かれるのではないでしょうか。
子供が男女2人の理由
花の子供はなぜ姉と弟の2人だったのか。
この映画、子供を育てた経験のある母親をターゲットにした大人向けアニメと考えることができます。母親として子供を育てた経験があって、かつ子供のころの視点で自分の母親を振り返ったときに「自分を育てたとき、私のお母さんも苦労したのかなあ」と感じてくれるのを期待して。
そのために育てた子供が男の子でも女の子でも気持ちを共有しやすいように、子供は男女2人にしたのではないかなと。
ただし母親の立場で「あんたたちを育てるときも大変だったんだよ~」なんて言おうものなら、子供から自慢か嫌味かと思われてしまうので気をつけましょうね。
帰省時期に見れるようにする憎らしさ
huluで配信されているのは、映画「バケモノの子」公開に関連してです。でもこの時期に見られるようにしているのは偶然とはいえ憎い演出ともいえます。
「おおかみこどもの雨と雪」のラストでは、エンドロールとともに子供時代の一場面がまるでアルバム写真を見るように映し出されます。映画を見ている側も2人の子供の成長を振り返ってしまいます。
「自分の母親も苦労したのだろうか…」
なんて思ったら製作者側の思うつぼ。夏休みに実家に帰省したら両親に感謝しつつ優しくしてあげましょう。
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